04.Palmという名の電子置物

PDA、大抵の人には耳慣れない言葉かもしれません。
これは「Personal Digital Assistance」の頭文字ですが、直訳すると「電子的に個人を手助けしてくれる」という曖昧なもの、むしろ「Personal Data Assistats」とした「個人情報を手助けしてくれるモノ」とした方が分かりやすいかもしれません。
どちらも分かり難いですか?はい、まぁ、要するに「電子手帳」です。予定表とか電話帳とか、紙の手帳ではなく電卓の親分のようなモノに覚えさせているアレを思い浮かべてください。

電子手帳とPDA。どちらも「使っている人がマニアっぽい」という印象があるくらいで、どちらがどちらという区別は曖昧ですが、実際の機能には決定的な違いがあります。
まず「電子手帳」とは、予め用意された機能を使うための機械である点。
例えば「電子辞書」は、まさに電子手帳の例ですが、これは「辞書」として用意された機能を使う機械であり、それ以外の事は出来ません。

一方、基本的にPDAに分類される機械は、独立したシステムを持っており、何らかの機能を付加できるようになっています。簡単に言えば、小さなパソコンであって、使う人が使いたい機能を(制限はありますが)付加する事が出来る点が大きく異なります。
ある意味、最近の携帯電話などは、後からゲームなどのソフトを購入して、機能を付加させる事が出来ますので、PDA的な使い方も出来る、と言えるでしょう。
まぁ、パソコンほど自由に機能を付加できないのは、仕方がないところです。

さて、ここでPDA論を長々と書いたところで、あまり益するところはありません。
興味のない方には、退屈な話ですし、興味ある方には、今更といった内容になってしまうでしょう。
ポイントは「PDAの使い方」です。
少し、PDAの現状について触れておきますと、マニアが使っている、というイメージは当らずとも遠からずの実情があります。日本の習慣があまりPDAを利用する価値を感じないという声もありますが、先ほど触れた携帯電話がPDAの必要性を駆逐している方が当っていると考えています。
高機能化した携帯電話は、通話だけでなく、インターネットもメールも出来ます。予定を管理している人もいますし、付いている電話帳以上の機能を持っています。こんな機能を持った機械が比較的安価に手に入るなら、わざわざ高価なPDAを持つ必要はないと思うのが自然でしょう。

使っている人間からすれば、結構便利なんだけどな、と言うのが本音ですが、必要のない人に必要のない機械を勧めても仕方がないことです。
いや、本当に使えるものなら、そんな活動をしなくても広まる筈が、中々、広まりません。
そこで「PDAをPDAとして使おうとしている枠」を取り払ってみてはどうか、と考えてみました。そう、PDAは「パソコン」なのです。
そこに目をつけて、こんな使い方を考えてみました。

    「お店の電子置物」

大手の薬局チェーン店などの店頭の陳列棚に、小型モニターが設置してあるのを見かけます。
何やら映像が流れていて商品の説明や宣伝を流している装置ですが、インパクトはあるものの、単調であまり効果があるとは思えません。遊び心がないというか、あれならば、電磁石の仕掛けでユラユラ揺れている装置の方が親しみを感じます。

さて、私の手元には「余っているPDA」があります。
世間の評価とは別に、PDAに惚れこんだ人の中には、さほど管理する予定がなくても新しい機種に心奪われ、ついつい購入してしまう人が少なくありません。
私も、その1人かもしれませんが、とにかく現在稼働中でないモノがあります。

この機種は「PalmOS」と呼ばれるシステムを搭載しています。
ユーザーの間では「Palm(パーム)」で通じる名称で、写真のPalmはSONYが発売している「CLIE」というシリーズの1つです。
機種としては、若干古い部類の機種になりますが、まだ十分に使えます。
    CLIE
    ★クレイドルに乗ったPalm
     写真はSONYの「CLIE(クリエ)」です。
これはクレードルと呼ばれる台座に載せる事が出来ますが、ボタン1つでパソコンとデータのやり取りをする事が出来ます。
しかし、機能云々よりも、卓上に置いてあると、結構かっこいいスタイルをしていることに気が付きます。
特に、PDAに馴染みがない方には、新鮮に映るかもしれません。


このPalmは、メーカーが古くからそのシステムを公開しているため、Palmのプログラムを作る人が多くいる、という特徴があります。
ささやかながら、私もそのハシクレですが、あるきっかけで知り合った「かえる屋ケロリン堂」さんというお店向けに、こんなプログラムを作ってみました。
ケロリン堂さんは、かえるのケロンくんを中心とした様々なキャラクターグッズを創作しておられますが、このプログラムは、それらのキャラクターが登場するデモンストレーションを行います。
下に示すように、お馴染みのキャラクターを使った、いくつかのランダムパターンが表示されるので、店頭のちょっとしたアクセントになると思われます。もちろん、ケロリン堂さん独自のキャラクターを使っているので、店頭でも違和感はないでしょう。

    ★お店のロゴが、下からズズズッと出てきたり


    ★お馴染みのキャラクターが、クルクルと横スクロール


    ★縦方向にもスクロールしちゃいます


    ★たまに作品も表示されちゃいます
    (幾つかの作品が収録されています)
もちろん、デモプログラムなので、一日中、動作させっぱなしの前提で作っています。
完成後は、2日間、電源を切らずに動かしつづけて、問題なく動作する事を確認しました。正確には2日以上、どれくらいかは覚えていませんが、職場に置き去りにしてありましたので、1週間は大丈夫です。まぁ、大きな問題は起こらないでしょう。


一方、只のデモではパンチ力不足です。
2本目のプログラムは「図鑑」です。

    ★こちらは「ケロリン堂図鑑」です


    ★図鑑を選ぶと、こんな画面に…


    ★選択してみると…


    ★キャラクター情報が表示されます

ケロリン堂さんの人気キャラクターが収録されている上に、お店の情報も忍ばせてあります(笑)

    ★お店の案内もバッチリ
     ↑この画面は、ちょっと古いですが…
この図鑑プログラムは、お店に来ていただいたお客さんが自由に触る事が出来るので、ちょっとした楽しみになるのではないでしょうか。場合によっては、同じPalmを使っている人に、その場で差し上げても良いでしょう。
安直な話ですが、いわゆる「限定グッズ」、お店でのみ配られるプログラムなので、Palmユーザー層の来店も期待できるでしょう(かな?)

さて、せっかくの楽しいお店で、お客さんが参加できるのですから、もう少し楽しいアイディアはないかと考えました。
安易にゲームプログラムを置いておくと、特定のお客さんが占有してしまって、多くのお客さんに触ってもらえなくなるかもしれません。
そこで、ふと思いついたのが「足跡」、インターネットのホームページでもお馴染みの「せっかくですから、何か書き込みを」というアレです。
一般的には「ゲストブック」と言われるものですが、これをPalmで実現してみました。

    ★お店にきたら、ゲストブック
Palmは画面がタッチパネルになっています。
スタイラスと呼ばれるペンで入力が可能ですが、この機能をわざわざ説明しなくてもニンテンドウDSというゲーム機が採用していますので、詳細まで説明しなくても良いでしょう。
お客さんは、来店時に、このように画面に好きなように落書きが出来ます。

    ★付属のペン(スタイラス)でスラスラと
紙にペンで書くのとは違って、やや違和感がありますが、それが落書きテイストを醸し出して楽しいのではないでしょうか。
もちろん、これは、記録する事が出来ますし、閲覧する事も出来ます。

    ★左上の「フリカエル」にタッチします


    ★過去の書き込みを、閲覧できます
標準では、その月に書き込んでくれた人の書き込みを順に閲覧する事が出来ます。
もちろん過去に遡って、特定の月の情報を閲覧する事が可能です。
半年前にお店に足を運んだお客さんでも、自分の書き込みを閲覧できる、という訳ですね。

    ★1年前に来た人の事だって覚えていますヨ

プログラムは、とりあえず3本です。
これらをどうやって使うか、ですが、Palmではありがたいことに、この下のボタンに好きなプログラムを割り当てる事が出来ます。

    ★本体下の4つのボタンには、好きな機能を割り当てられます
したがって、初めてのお客さんでも間違いない操作が可能でしょう。
どのボタンがどの機能かを表示する案内板などは、店主さんの助けを借りなければなりませんが、これも手作り感があって楽しいのではないでしょうか。


そして、これらのプログラムは、かえる屋ケロリン堂さんの店頭でのみ公開する予定です。
図鑑プログラムなどは、広告を兼ねて公開しても良いかもしれませんが、やはり、お店限定の電子広告として働いてもらうのが一番でしょう。
まだ、準備中ですが、近日中に公開にしたいと思っています。この辺り、私のサイトやかえる屋ケロリン堂さんの情報に注目してください。


さて、特定のお店用に作る広告プログラム、もしかして、興味を持たれた店主さんが「うちの店にも」と思っていただけると嬉しいです。
でも、維持管理は大変なのではないか、と思われるでしょう。
幸いな事に、PalmはPDAです。つまり、常にデータを「持ち歩いて」使う事を想定した電子手帳のようなものですから、簡単には壊れませんし、メンテナンスも簡単です。
もし、すぐデータが壊れたり、使い勝手が悪いのなら、私だって使わないでしょう。

日常的には、電池さえ切れなければ、使いつづける事が出来ます。
そして、台座が充電器を兼ねていますので、コードレス電話並に気楽に扱えます。
また、万が一、プログラムが消えてしまった場合ですが、ケロリン堂シリーズの場合、最初の状態を外部メモリーにバックアップし、簡単な操作で戻せるようにしてあります。不測の事態でも、特に困る事もないでしょう。
また、日常的なバックアップ作業も、簡単な操作で出来るようにしてありますので、大切なデータを全部消してしまう最悪な事態は避けられます。
そもそも、Palmをお持ちでないケロリン堂さんの店頭に置く事を想定して作りましたので、複雑な知識が無くても操作できるように作ってあります。
(後日、興味を持ったケロリン堂の店主さんは、1台ご購入されたようですが)
とにかく、普段持ち歩いても大丈夫なPDAですから、その利点が、そのまま生きる訳ですね。


本体ですが、残念ながら、日本のPalm市場が下火であることと、最近の機種は付加機能が多いため、店頭デモに向いたシンプルなPalm本体を入手するのが困難なのが現状です。
ただ、Palmを使っている人は全国にいます。多分、あなたの街にもそういうユーザーさんがいる筈ですので、何らかの力になってくれるかもしれません。
私もそういうユーザーの1人ですが、別にこれを使って、商売を始めようとは思っていません(無理でしょう)。むしろ、こんなヘンテコなプログラムの作成を快諾していただいたかえる屋ケロリン堂の店主みうらさんに、感謝しています。
プログラムの方ですが、私自身、私の好きなPalmで私が作ったプログラムが、好きなお店で働いている。そんな姿を想像すると、何か嬉しい気持ちがしますので、案外、協力して頂ける人が少なくないのではないか、と思っています。

まぁ、あまり期待はしていませんが(笑)、この利用法が本格化すればメーカーは、1台1万円以下で提供できるのではないかと思っています。最新バージョンのOSは不要なので機械は極めてシンプルになりますし、余分なマニュアルも付加機能も不要ですから、悪くない話ではないでしょうか。
こんな機械が欲しいな、という方は、ここで読んだ話をメーカーに伝えて頂くのが一番の早道かもしれません。


PalmをPDAではなく、1台のコンピュータと考えると、驚くほど応用が広がることに気がつきました。通信費などの維持費を考えると、携帯電話には真似しにくい芸当です。
また、同じコンピュータでも、大きなパソコンが「デン!」と構えていているよりも、「何か小さな機械がお店の宣伝をしているよ」という可愛らしさが良いのかも知れません。

それは、1人の客が、お店を応援する気持ちから生まれたプログラム。広告代理店やメーカーが提案する広告とは一味違った信頼感があるのではないでしょうか?

    ★お店で会いましょう〜
ちょっと変わったPDAの使い方。ご意見・ご感想など等、お声を頂ければと思っています。



協力:かえる屋ケロリン堂(http://kkd.ne.jp/)
mizuno-ami.2005.■■■

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