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小さい秋、見つけた 〜国道151号線とか〜

2004/11/14
 普段、出不精な私だが、唐突に出掛けたくなることがある。
大手の鉄道会社のキャッチコピーで「そうだ京都へ行こう」というものがある。
冷静に考えれば、思い出したかのように京都に出掛けるなどありえない筈だが、私のような人種のために、こういうコピーがあるのだろう。
そうだ、秋でも探しにいこう!


で、秋は何処にあるんだ?


考えていても仕方がないので、とりあえず、山の方へ。
山の方なら、少しは葉っぱが黄色だの赤だのに変色、じゃない、色付いてきていて感慨深げに秋を感じられる筈だ。
安直だが、向かってみることにする。

豊田市の東側、下山村に入ると、さすがに山が黄色くなっている。方向は合っているようだ。秋はこちらの方にあると確信。
期待しながら、更に進む。
下山村を越えて、作手村(つくでむら)に差し掛かった頃、ふと田んぼの中の風景に目を奪われた。

なんじゃこりゃ?
背の高い木が列をなして並んでいる。
何の意味があるか分からないが、見事に一列だ。
おそらく、夜中には列をなして行進しているに違いない。いや、それは宮沢賢治の世界。
でも、列の先頭から眺めれば、あながち冗談でもなさそうな列隊だ。
しかし、秋とは関係ないか。
先に進む事にしよう。




おっとっと、Uターン、Uターン!



おそらく、有名な漫画のあのキャラクターだと思うが、歯茎の剥き出し方が尋常ではない。
平気で山の中にゴミを捨てる奴に怒りを覚える気持ちが十分に伝わる秀作だ。
思わず、Uターンしてまで撮影してしまった。
今まで安易にゴミを捨てていた人たちは、この看板を見て住民の怒りを感じて欲しいものだ。

いかんいかん、秋を探しに来たのではないか。


作手村を抜けると、新城市(しんしろし)だ。
その途中の峠は、中々の景観ポイント。あいにくの曇り空で靄がかかっていた今日でも、それなりにキレイに見える風景だ。
感慨深げに見ていても、この先、新城市の市街地に入るため、紅葉は望めないか。
とりあえず、国道151号線を北上してみる事に。理由は簡単、山なら上(北)へ、海なら下(南)へ行けば良いだけの事だ。

うーん、ついついこんなモノばかり撮影してしまうが、この「命落とすぞ」という辺りが心に染みる。
こういう看板ばかり集めているサイトがありそうだが、その気持ち分からなくもない。

さて、ずんずん先に進んでいこう。
市街地を抜けると、山道に入る・・・山道の割には交通量が多いなぁ。
おちおち停まって写真を撮っている余裕はなさそうだ。
何とか、路肩に避けて撮影した1枚。
山の中に唐突に出現したオブジェ。モアイ像だろうか?
泣き顔なのは、遠く故郷のイースター島を想っているのか。意味ありげな表情だ。

・・・そろそろ、トイレにでも行きたい。
こういう時便利なのは「道の駅」だ。
幸い、もう少し行くと「宮嶋」という名前の道の駅があるようだ。
宮嶋・・・ついつい「不肖・道の駅」と口走ってしまう。

到着。小さいなぁ。
とりあえずトイレを済ませて、中に入ろうとするが「売店はありません」などの張り紙が。
まぁ、いいや、とここはトイレのみで通過。
帰ってからサイトで「豊根グリーンポート宮嶋」を見ると、売店もあるらしい記述があるので、何か読み間違えたのか。
それよりも「宮嶋遺跡」という記述が気になるので調べてみると、この付近で縄文時代あたりの遺跡が出ているらしい。
ほほぉ、実は、道を挟んだ向かい側に、何かと置かれていたのだが、
この屋根付きベンチを「雨が降ったら濡れるよなぁ、変なデザインだな」と眺めていたのだが、何かの遺跡と関係のあるデザインなのだろう。
無知とは、罪だ。
ん?とすれば、
こいつは縄文人だったのか?
やはり無知は罪だ。

しかし、山の方は寒い。
ちょっとした寒さなら我慢はできるが、冷たく湿った空気は、容赦なく体温を奪う。
ついでに、小腹も空いてきた。

もう気分は次の「道の駅」だ。
「信州新野千石平」、しんしゅうにいのせんごくだいら、誰がこの正式名称で呼ぶだろうかと思われる程の長い名前。
鉄道の駅なども、新しい路線ほど駅名が長いような気がするが、単に京葉線のイメージでモノを言っているだけかもしれない。
でも、確かに新しい建物で、結構に「どど〜ん」とした構えは、圧巻されるものすらある。
振り返ってみれば、
あの山を越えてきたんだなぁ、としみじみ感じる。

ちなみに、この道の駅、ものすごい目印があるので、初めてでもすぐに分かるだろう。
なぜなら、こんな奴が睨みを利かせているからだ。
車で通ってきた時は「天狗」だと思っていたのだが、国の重要無形民俗文化財「新野の雪祭り」の「幸法」(さいほう)という神様らしい。
・・・でも、何か怖いです。
恐いもの見たさにアップにしてみましょう。
何となく「イケメン」な素顔を感じさせる輪郭ですが、やっぱり怖いです。
身長5m以上はあると思われるこのオブジェ、悪い事をする子供を懲らしめに来ると教えれば、効果があるだろう。「悪い子はいね〜が?」って、それはナマハゲだ。

しかし、道の駅自体は居心地が悪くない。
新しいだけあって、トイレはきれいだし、食べるものも悪くない。焼きたて焼き栗は、今まで食べた焼き栗の中で、一番、美味いと感じた程だ。
そして、その食べ物を楽しませる演出が心にくい。
もう、長野県に入り、随分と肌寒くなったが、館内では、こんなモノが出迎えてくれる。
炭火が、このように置かれている。
そして、この炭火は自由に使っていいのだ。
売店では、近所から持ち込まれた野菜類もあるしキノコ類もある、また、信州名物の「おやき」があれば、ヤマメの串焼きも売っている。
買ったものをめいめい、あぶって食べられるのは、楽しい。
おそらく、道の駅ではなければ、ワンカップを片手に長居する人で溢れるのではないだろう。
ひとまず、炭火の周りで、まったりと過ごす事が出来た。

・・・何しに来たんだっけ?
ああ、秋、秋、秋探し。
ひとまず、このまま北上を続けることに・・・

へぇ、こんな所の出身なのか。
こういう立て看板になることは「故郷に錦を飾る」と言うのだろうか?ちょっと違う気がするが、まぁ、有名になったわけだし。
でも、あまり似ていないかも・・・

そろそろ、飯田市だなぁ。153号線で帰るのが手頃だと判断し、折り返し地点目指して前進を続ける。
と、そう思った矢先、あちらこちらに「カキ」が。
秋らしい風景だ!
結構、交通量が多かったので悠長に写真が取れなかったが、あちらこちらに吊るされている「干し柿」が目に入る。
それらは、吊るされていた、という生易しいものではない。
このウチなどは、軒下に「多く吊るしているなぁ」と思う程度だが、中には小屋全体にオレンジ色の珠数玉のようなモノが吊るされているところもあり、遠目に見ると、室内が全てオレンジ色に見えるほどの状態。
そして、町全体が、なんとなく、柿の甘い香りに包まれている。
町全体が、果実の香りに包まれるのは、以前、塩尻〜松本辺りのリンゴやブドウ畑の横を通った時に体験したが、どこかしら嬉しくなってくる。
まぁ、常にこの香りに曝される住民の皆さんが、どう感じるかは分からないが、たまたま通っただけの人間には、楽しい体験だ。

ある角を曲がると、今まであった吊るし柿の群れは姿を消し、普通の街並みに変わった。
暖房器具屋さんも、ドットコム会社になる時代か、などと思っているうちに、国道153号線と交わる。
街路樹はイチョウ。
黄色く色づいたイチョウ並木が秋らしいが、落ち葉を掃除する方は大変だ。
せっかくキチンと切り揃えられた植え込みも、ケーキに粉砂糖をかけたごとく、黄色い落ち葉が積っていた。
さて、曇り空でよく分からないが、日が傾いてきて、薄暗くなりかけてきてしまったようだ。
イチョウ並木で気付いたのだが、結局、紅葉らしい写真は写していない。
写してきたのは、ヘンテコな看板ばかりだ。

ひとまず、難しい事を考えず、何かを食べよう。
立ち寄ったのは、153号線沿いの道の駅「信州 平谷」、定番の信州ソバを食べておく。
色々と、飲食している割に、ちゃんとソバも食べられる。
たまに、甘い物は別腹、だと寝ぼけた事を言っているデブが居るが、本当のデブは、甘い物だけじゃなく、食べ物の種類に応じた数の別腹を持っていることを、薄々感じている筈だ。
ということで、ソバを「ソバ専用」の別腹に収めておく。
ふと、外に出ると、身近にモミジが・・・
曇り空の夕方で、これほど鮮やかに写るのは、カメラの性能のおかげ。
どことなく「カメラの性能のおかげだという事を忘れるな」とランバラル氏の声が聞こえてきそうな状況だが、やっと撮影した秋らしい1枚だ。


とにもかくにも、つらつらと書き垂れてきたが、振り返ってみれば、紅葉よりも食欲に気を取られていたような・・・
自分にとっての「秋」は、紅葉よりも食欲であることを証明したような一日だった。
でも、少しずつ「食べ進む旅」も悪くない。
本日の好日度:★★★☆☆ 「花より団子の秋バージョン」