2019年09月01日 記事
加わる話、削がれる話

2019年09月01日(日)

●どういうことか?先日、韓国に対して「フッ化水素の輸出を許可した」というニュースが流れたが、あれが嘘らしい、という情報が流れてきている。そもそも「輸出規制」ではないので、手続きに従い、問題がなければ許可が下りるはずなので、普通に手続き通りに処理しただけ、大騒ぎする理由はない、と思っていたが、一方で、あれだけ大っぴらに騒いだのに、実は嘘でした、という可能性が決して小さくないことも心の中にあった。沈没フェリー、セゥオル号の事故。あれも、ニュースの流れは「修学旅行生らを乗せた客船が座礁した」→「全員の無事が確認された」からの「座礁じゃなくて沈没」「修学旅行生ら死者多数」という真逆の結果となった。いくらなんでも、そんな間違いはなかろう、という方向の報道に、遺族は奈落の底に突き落とされた気分だろうが、さらに船長はじめ多くの船会社の連中は逃げ延びた、という情報で、奈落の上から泥を被せられるという韓国らしさがよく分かる1件だった。それを思えば「輸出許可された」→「規制していても、やっぱり日本は困るんだ」→「我々の価値ニダ」みたいな流れが一気に作られようが、それが全否定される「嘘でした」が出てきても、全く不思議じゃない。だいたい、他の2件の輸出許可も、あえて説明する必要もなかったのに、あえて世耕経産相が「禁輸措置とは違いますから」を示すために、説明していただろう。フッ化水素なら尚更だが、今回はそれがない。もはや、驚きも落胆もなく、ただ「ああ、やっぱりか」と思うのみだが。●この手の話で面白いのは、それが嘘かどうかよりも、それがどうやって伝わったか、どうやって報じられたか、という点だ。そういうの、むしろ、性格が悪い部類になるが、嘘はそのまま報じられることなく、知らず知らずのうちに誇張されて伝わるからだ。俗に、尾ひれが付く、などというが、たいてい、面白くなるのが「3番目」になる。まず、最初のやつ、嘘の1番目は「○○らしいよ」と曖昧な話を持っている。これが2番目には「1番目が言うには、○○だそうだ」として伝わる。微妙な違いだが、3番目には、もう「○○だそうだ」に変わってしまう。らしいとだそうだ、随分違うが、誰が言ったかが取っ払われると、余計に「ほぼ確定」に聞こえるから不思議なところ。ほぼ確定情報を受けたヤツは、より私情を挟みやすいので、常日頃から快く思っていればその雰囲気を、その逆であればその感情を、それぞれ含ませながら話を伝える。どちらにしても、ほぼ確定情報だから、あえて裏を取ることもない。結果「あれだけ禁輸だと騒いでいた日本が許可を出した。我々の勝ちニダ」に行き着くのは不思議じゃないし、たいてい、その位置にマスコミがある。その後の尾ひれの付き方は推して知るべし。ところで「尾ひれが付く」という言葉、何だろうね。そもそも、魚であれば、先に進めば進むほど、尾ひれなど取れてしまい、切り身になっていくだろう。少なくとも、尾ひれは取れる側であって付く方ではない。付くとすれば、話に登場した魚が伝達されるごとに「実は尾っぽが2つあって」「ヒレも尾っぽもたくさん付いていて」などと怪魚らしさが勝手に付加されるようなケースだろう。そうであれば、尾ひれは付く側で問題ないし、話が誇張されて伝わる様子も表している。だが、根本的に、尾ひれが大量に付いた魚の話を、そうそう人が信じるか?って話だ。付けば付くほどオカルトっぽくなる魚の情報。信じさせるため、話し手はさまざまなテイストを加えるのだろう。なるほど、説得力のある尾ひれか。★☆★
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