再開発という名のリセット
2019年06月02日(日)
●自動車の街トヨタ市にも公共交通機関はある。主なものがバスになるが、あちらこちらの都市にあるような「地域バス」、こちらでは「おいでんバス」が市バスとして走っている。ここ最近になって、自分でも乗るようになったが、意外と利用者が多くて驚いている。特に面白いのは、豊田市駅にほど近い住宅街からの利用者が多く、かえって、郊外は少ない点。これは、ある程度、郊外になると自動車での移動が当たり前になるためで、自宅付近も、多くが自動車前提の生活になっているように見える。一方で、バスによく乗るのは、もう少し駅近く。自動車にそれほど依存しなくても生活できる圏内となろうが、ここ最近の新興住宅街は、そういう場所に出来ている。若い世代を中心に進む「脱クルマ社会」は、こういうところにも垣間見えるようで、郊外にある、かつての新興住宅街は、子や孫の世代が定着せず、少子高齢化する地域が多いと聞く。さらに、田舎にありがちな「こんな山奥を切り崩して住宅街を?」という場所など、衰退の一途をたどっているようで、周囲の町村を巻き込んで面積だけは大きくなったトヨタ市も、実際、都市部に集中するという日本の縮図みたいなのが進んでいる。いや、逆か。日本がそういう方向に進んでおり、そこそこ便利な駅を中心とした立地に人が集まっているのだろう。●「再開発」という名の部分的リセットは、ちょうど周期的に昭和の遺産を整理するのにちょうど良に時期に来ているようで、豊田市駅周辺など、もはや、クルマ不要で十分に生活できるようになってきた。脱クルマ社会は、自動運転技術の進化もあり、思ったより早く進む可能性があるが、そうなろうが「FUN TO DRIVE」の精神を掲げているトヨタなど、どこかに「運転する楽しみ」を盛り込んでくるので、どの辺りに利便性と人の楽しみの妥協点を見つけるか楽しみだ。ただ、荒い運転を「ボクちゃん、上手」と勘違いしているようなバカが絶滅しない限りは、むしろデメリット側に働くのは間違いない。いや、積極的にクルマにカネを出すのが、そちらだと思えば、商売としては仕方のない話。バスに揺られながら、そんなアホな事を考えているが、脱クルマ社会になっても、こんなトラック上がりのような運転手がハンドルを握るしかないようなバスじゃ、かえって危ないんじゃないかと思わざるを得ない。自家用車の自動運転なんて後でいいから、大型車両こそ優先すべきだ。★☆★